就労移行支援事業所を辞めたいけど、「どうやって辞めたら良いのか分からない」、「辞めたいと伝えたのになかなか辞めさせてもらえない」、「辞めた後にどうしたらいいのか不安」、「実際に辞めた人はその後どうしているのだろう?」
こんなお悩みはありませんか?
実際に私が300人以上の支援を経験してきた中でも、「事業所のレベルが合わない」、「苦手なスタッフがいる」、「利用する意義が見いだせない」といった理由で退所される方が一定数います。
先に結論をお伝えします。
冷静に考える時間をもち、デメリットも理解した上で辞めるのであれば後悔はしないでしょう。現在の事業所を辞めたからといって就職できないことはありませんし、就労移行支援以外の選択肢も複数あります。
本記事では
・就労移行支援事業所の辞め方
・辞めるデメリット
・辞めた後にどんな選択肢があるのか
・実際に辞めた方のケース
などをお伝えします。
事業所を辞めるかどうか悩んでいるあなたが、「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないための情報をお届けします。
ぜひ最後までご一読ください。
就労移行支援事業所を辞めるための手続きは?

就労移行支援を辞めるには、事業所スタッフに伝えて退所届や利用終了届を書くのが一般的です。利用している相談支援事業所がある場合は、相談員にも伝えて手続きを進める必要があります。
最終的に事業所または相談員から行政に利用終了の連絡が行き、正式に手続きが完了します。
退所の申し出に関して期限を設けている事業所が多いため、契約書を確認しておきましょう。
「30日前までに退所の意思を伝える」というケースが多いものの、職員と相談して早めてもらえることがあります。
引き止められたり辞めさせてもらえない場合は?
引っ越しや体調悪化等のやむを得ない事情を除いて、引き止めにあう可能性が高いです。なぜなら、事業所の報酬が下がってしまうからです。ひどい場合は長期間の休養や在宅利用を挟んで、ズルズルと辞めさせてもらえないことがあります。
その際は担当の相談員もしくは行政の福祉課の窓口に直接行くか、電話やメールで連絡をしましょう。
辞めることのデメリットと注意点
辞めることで生じるデメリットと注意点は以下の6つです。
- 2年間の期限は戻らない
- 就職が遅れるリスクが有る、ブランクができる
- 生活習慣が崩れてしまう可能性がある
- 違う就労移行に行った場合に、基礎的な訓練からやり直しになる可能性がある
- 就職時の後ろ盾がなくなる(別の就労移行支援を利用する場合は除く)
- 書類の手続きが発生する
順番に詳しく説明します。
2年間の期限は戻らない
事業所を変えたり、退所をしたからといって、就労移行支援の標準利用期間である2年間がリセットされることはありません。(例外的にリセットしてくれる行政もまれにありますが、期待しないほうがいいでしょう。)
例えば、就労移行支援に半年間通ってから辞めた場合、残りの利用可能期間は1年半です。
違う事業所に通い始めてもこの1年半の期間からのスタートになります。
特に残り期間が3ヶ月〜半年程度の場合は辞めるかどうか慎重に考えたほうが良いでしょう。
就職が遅れるリスクがある、ブランクができる
途中でやめた場合、新たな活動先を決めるまで就職活動がストップしてしまったり、ブランクが生じてしまいます。
見学や手続きなどの就職活動以外のことにも時間を取られてしまうため、就職が遅れてしまうリスクがあることは認識しておきましょう。
生活習慣が崩れてしまう可能性がある
就労移行支援という日中の活動先がなくなってしまうため、夜ふかし、寝坊、昼寝、運動不足に陥ってしまうケースがあります。
決まった時間に決まったところに行く・活動するというサイクルを独力で維持するのが難しいと感じている方は特に注意が必要です。その場合は辞める前に次の活動場所を探しておくことをオススメします。
他の就労移行に行った場合に、基礎的な訓練からやり直しになる可能性がある
ほとんどの事業所は基礎→応用→実践(就活)にプログラムが分かれていることが多いです。
新たに他の就労移行に通い始めた場合、基礎的なプログラムからやり直しになってしまい、想定よりも就職が遅くなることがあります。
気になった事業所が見つかった場合は見学や体験の際に、予定している就職時期からずれないか、応用的な訓練から参加できるか確認しましょう。
就職時の後ろ盾がなくなる(別の就労移行支援を利用する場合は除く)
障害者雇用枠での就職を目指している場合、企業側からすると「就労移行支援に通っている」ということがひとつの安心材料になります。
就労移行支援に通っている方は生活リズムが整っていると受け取られ、就職後に企業が困った場合は事業所スタッフに相談することができるからです。
就労移行支援を利用せずに独力で就職活動をすると、この後ろ盾がない状況で他の就職希望者と戦わなくてはなりません。

この点が気になる場合は、現在通っている事業所に「就職活動の際にどのようなサポートをしてもらえるのか?」「サポートを受けることによって、どんなメリットがあるのか?」を確認してみましょう。
書類の手続きが発生する
退所届や新たな利用に関する手続き、行政への利用変更の申し出などのやり取りが発生します。場合によっては事業所で代行してくれるケースもありますので、気になる場合は相談してみましょう。
辞める前に冷静に考える時間を作りましょう


これは当たり前ですがとても重要なポイントです。
衝動的に辞めて次の行き場に困ったり、就職活動に大きな支障をきたしてしまうことがないように辞めた後のことを考えておきましょう。
また辞めたいという気持ちが一時的な感情ではないか、1週間くらい事業所を休んで考えてみるのがよいです。
辞めるか決断できない場合は通所頻度を減らして、違う事業所や活動場所の見学に行くのもオススメします。



他のところも見学してみると、今の事業所と比較ができて決断がしやすくなるよ!
1人だけで考えていると視野が狭くなったり、思考がぐるぐると巡って迷い続けることがあるため、相談支援事業所や職業センターなどの外部機関に相談して客観的な意見を聞くのも良い方法です。
辞めた人の理由は気持ちと状況の変化
ここからは私が経験した実際のケースに基づいてお伝えします。
就労移行支援を辞めた方の理由は主にこの5つです。
- 事業所が合わない
- 体調不良
- 気持ちが切れた
- 生活費が不足
- 事業所に不信感を持った
順番に解説します。
事業所が合わない(プログラム、支援員、サービスの質)
最も多い退所理由がこれです。
「思っていたプログラム内容ではなかった」「取り組んでみたが成果が出ず意義を見いだせない」「支援員に言われたことが納得できない」「支援の質が低くて何も分かっていないと感じた」など、事業所のプログラム、支援員やサービスの質が合わずに辞めるケースがあります。
体調不良
就労移行支援に通うだけでも、決まった時間に起きる、外出の準備をする、通所する、退所後に翌日の準備をするなど、やることが増えます。
調子が悪い日でも無理をしてしまって体調を崩すことがあります。
その他にも事業所以外の対人トラブルや家族とのストレス、通院・服薬が出来ずに症状が悪化してしまった例もありました。
気持ちが切れた
多くの就労移行支援ではプログラム内でステップが設けられています。順調に進んでいたのに、あるタイミングで躓いてしまったことや、時間をかけて取り組んでいたことが水の泡になってしまったときに気持ちが切れて通所が途切れてしまうケースがありました。
生活費が不足
就労移行支援に通うためのお金がなくなったため、やむを得ずアルバイトや派遣で働き出す方もおりました。また、家族の援助が打ち切られてしまったり、突発的な支出があって予定よりも早くお金が尽きてしまうケースもあります。
事業所に不信感を持った
「事業所が合わない」と通じる部分がありますが、事業所の対応や取り組みに不信感を感じて辞めてしまうケースがあります。
別の就労移行支援から移籍してきた方は「前のところは何も説明してくれなかった」「辞めるのに1ヶ月以上かかると言われた」などの不満を口にしていました。
話し合いで解決したらいいですが、不信感のある事業所に通い続けることは難しいし辛いですよね。
実際に途中で辞めた人のその後


途中で就労移行支援を辞めた方はその後、どのような選択肢を取っていたのか、実例に基づいて5つご紹介します。
- 違う就労移行支援を利用
- 治療優先で療養
- アルバイトや派遣社員として働く
- 他のサービスを利用し日中活動を行う
- 地域のサービスを活用し就職活動を継続
違う就労移行支援を利用
事業所が合わなかった方は他の就労移行支援を利用するケースが大多数です。事業所の強みや学習内容、支援体制も異なるため、環境を変えることで新たにスタートを切ることができます。
治療優先で療養
体調悪化による場合は主治医の指示に従って療養していただきます。訪問看護の利用やデイケア等の医療的サービスを利用し、体調が落ち着いてから再度利用につながるケースもあります。
アルバイトや派遣社員として働く
本来は腰を据えてじっくり取り組みたいと考えていた方が、生活費が不足したのでやむを得ずアルバイトや短期、単発バイトをして生活している方もおります。
他のサービスを利用し日中活動を行う
就労移行支援を辞めた後に生活リズムが崩れないよう、ご自身にあった日中の活動先を選んでいる方もおります。
主な活動先は就労継続支援A型、就労継続支援B型、デイケア、地域活動支援センター、自立訓練といったサービスです。
A型やB型ではお金を稼ぎながら働くために必要な生活リズムや障害特性の理解を深められます。
病院が運営するデイケアの活動に参加して日中活動を行う方もおります。
自立訓練は居場所としての役割が強いですが、生活を整えるためのプログラムや就労に向けた基礎的な講座を行っているところもあります。
地域活動センターは障がいのある方を対象に、通所して手工芸や軽作業といった創作的活動・生産的活動をしたり、地域社会・他者と交流したりする施設です。
ご自身の状況や取り組み方にあった活動場所に連絡をしてみることをオススメします。
地域のサービスを活用し就職活動を継続
就労移行支援以外の就労支援サービスを利用して就職を目指す方もおります。
地域によって事業の有無や名称の違いはありますが、自立支援プログラム、就職支援セミナー、障害者職業センター、地域若者サポートステーション、ハローワークや転職エージェントを利用し就活を行っていました。
まとめ
辞めるための手続きと考えておくこと、注意点、デメリットについて解説しました。
辞めることで生じるデメリットと注意点は以下の6つです。
- 2年間の期限は戻らない
- 就職が遅れるリスクが有る、ブランクができる
- 生活習慣が崩れてしまう可能性がある
- 違う就労移行に行った場合に、基礎的な訓練からやり直しになる可能性がある
- 就職時の後ろ盾がなくなる(別の就労移行支援を利用する場合は除く)
- 書類の手続きが発生する
期間を決めて冷静に考える時間を持ち、就労支援事業所以外の就労支援機関や相談支援センターに相談することをオススメします。
さらに辞めた人の理由とその後について、実例をご紹介しました。
5つのパターンをお伝えしましたが、就労移行支援を辞めたからといって「働くこと」の未来が閉ざされることはありません。
今の状況が辛かったり、期待が持てないのであれば環境を変えるのも一つの手段です。
本記事が総合的に考えて決断をするための判断材料になれば幸いです。


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